エヴォリミット


シナリオ システム キャラ キャラデザ 音関連 実用
8点 8点 8点 9点 9点 6点


シナリオ
進化の果てにあるものは―――


プレイ時間は共通5時間、個別も5時間。総プレイ時間は20時間。
ルートは3本で、攻略キャラは4名(アクアはリーティアとのペアで攻略は出来ます)。

火星の第一陣開拓グループに選ばれた主人公、順調に進んでいた開拓作業だが、とある出来事により主人公達はコールドスリープ装置での眠りを余儀なくされてしまう。
そして100年後、眠りから覚めると、そこには老若男女問わず人間とは思えない高さの身体能力に、特殊な能力を所持している、超人達が暮らす世界になっていた、というのが最序盤の話。

この超人というのは、火星にて発見された特殊な鉱物であるパッチを装着した人間の事を指し、パッチの強度はダイヤモンド以上。しかしこれの凄いところは強度ではなく、肉体につけることにより身体能力が飛躍的に増し、本来ならあり得ないであろう特殊な能力を使用することが出来るようになること。
能力は多種多様で、炎を操ったりと割とポピュラーな能力もあれば、別の場所への転移が出来るという、持っている人が少ないレアスキルもあったり本当に様々。
火星に住む人間は、なんらかのトラブルによりパッチが破壊されない限りは全員装着しており、最早パッチがなければ生きていけない状態に。
そんな世界に主人公達は目覚めたので、最初は当然驚くわけです。そりゃそうですよね、目覚めてみたら、みんながみんなオリンピック選手なんて目じゃない身体能力なんですもん。それに加え、特殊な能力まで使用することができるし。

そんな周囲の状況において、主人公たちはパッチを装着していない数少ない一般人。
それだけででも周囲から注目を集めそうですが、主人公たちは全滅したと思われていた火星開拓グループ第一陣の生き残りだったのですから、注目の的な訳です。
神話的な扱いまでされるくらいの存在。そこまで持ち上げるのは、開拓当時の人間はパッチの存在を知らず、超人的な身体能力なんて当然持っていない訳で、パッチを装着した人間からすれば楽な事でも装着してない人間にとっては常に命がけでの作業、そんな状況でも開拓作業を続けていたわけですから、周囲の人間も敬うわけです。
というように、主人公たちの扱い方が、他のゲームではあまり見られないものになっています。先祖が凄かった、とかではなく、主人公たち自身が生きた伝説。

シナリオ中身は、主人公と周囲の価値観の違い、そこから生じる問題を乗り越え、という成長ものでしょうかね。
超人になった人類だが、確かに外見の強さは上がったがしかし中身はどうなのか?そもそも外部の力により授かった力を進化したといって良いのか?というような話があったり。
そんな事言われると小難しい話なのかな?と思ってしまいそうですが、そんなことはないので安心して下さい。

というか、そういった話よりも、このゲームの7割近くを占めている、主人公の変態ぶりと、周囲のキャラとの掛け合いシーンが合うか合わないかで大きく変わりそうです。
終盤くらいまで来るとそういう部分がなくなりますが、中盤までは普通の学園モノみたいなものに。この部分が自分にとって予想外というか、期待と違っていたのですが、戦闘が少ないです。主人公の変態ぶりとか掛け合いは結構楽しめましたし、薄いだろうなと思っていた萌え要素が予想以上にあり嬉しかったのですが、期待していた燃え部分が正直薄かった。数少ない戦闘も、進化という名のご都合展開により、あっさりと局面をひっくり返してしまうので、いまひとつ盛り上がりにかける。
雫シナリオでのヴォルケイノ戦のように盛り上がる戦闘もあるにはあるけど、やはり燃え的展開に期待してしまうと、期待外れ。
ラストバトルは、それを顕著に示すもので、エヴォリミットという作品としてならありでも、燃え要素のあるゲームとして見ると失格かなと。
あくまで戦闘は進化を促す為の手段にすぎないので、戦闘には過度に期待は持たないほうが良いと思います。

とまぁ、期待していた戦闘には不満がありますが、別にシナリオ自体にはあまり不満はありません。最後の最後に進化の果てに行き着く答えも示してもらえましたし、この作品はこういうものなんだな、と。進化の道が1つでなく色々あるというのは良かったですね。最終的に行き着く先が同じということがなかったので。

恋愛描写は微妙でした。個別に入った途端に意識しだすヒロイン達はちょっと・・・。
ヒロイン達は可愛いし、萌えましたけど、恋愛描写は残念でした。

サブキャラは悪役たる悪役というのがいなかったのは残念だったものの、良キャラ揃い。
特に災害の猿たちの面々は1名を除き、めっちゃ好きです。
雫シナリオで一気に好きになりました。レナートくんは活躍する場面はちょっとですが、そのちょっとの見せ場のシーンがかなり良い。
なんだかんだでカズナの事を信頼し、そして支えている姿がカッコいいぜ!

シナリオは燃え部分こそ残念な物でしたが、それ以外の部分については結構楽しめました。
システム
CG鑑賞、シーン回想、音楽鑑賞あり。エンドロールが流れるエンディングを見ると、タイトル画面がそのエンディングのラストに表示されたイベントCG(とBGM)になります。
ムービー挿入シーンがあったり、演出面はそれなり。スキップはジャンプ機能があるのは良いですね。
ただ、未読の文章なのに、若干スキップされてしまう部分があったのが気になります。
それ以外は特に不満に思える部分はなし。
キャラ
一条 雫
CV:波奈束風景
火星開拓団の第一陣メンバーの一人。主人公とはお互いの背中を預けられるくらいの信頼関係。
最序盤で主人公の事を思い出し、笑顔を見せる雫を見た瞬間に心奪われました。
主人公とのどつき漫才が笑えますね。裸見られた時のシーンなどの女の子っぽくない反応も笑えます。
主人公とは男女の垣根を越えた関係で、彼女のシナリオに入る頃には、読み手側もそういう認識になっているというのは良かった。シナリオは総まとめな話で、一番楽しめる出来。災害の猿たちの大人達がカッコ良すぎる。
終盤は見所満載で、涙腺直撃なシーンがあったりしますし、良かった!
ただラストバトルは分かるけど、分かりたくないという奇妙な気持ちを抱きましたけどね。

鷹星カズナ
CV:閏若葉
主人公達が暮らす事になる都市の市長。かなり強い力の持ち主です。
真面目っぽい感じですけど、隙さえあれば仕事をサボろうとしてしまう人。
でもなんだかんだで市長の仕事はしっかりとやります。
黒い表情での言動とレナートくんとのやり取りが笑える。
シナリオはカズナのツンツンぶりに注目ですね。
主人公と距離を置こうとしてツンツンするのですが、あれだと逆効果だよ(笑)。

リーティア・フォン・エアハルト
CV:北都南
軍部の部長。見た目は幼いですが、その見た目に反し実力はかなりのもの。
災害の猿たちの大ファンで、その生き残りである主人公と雫を尊敬しています。
妹的なキャラで、軍部メンバー達とは厳しい表情でのやり取りが多いのですが、主人公や雫の前だと妹モード発動で凄く可愛い。
実は主人公とは、ちょっとした縁があるキャラ。
それに関わる話に若干感動してしまった。シナリオはカズナルートを発展させた感じですね。固定シナリオだと思うのですが、カズナ→リーティアとシナリオの流れが良く出来てると思います。

アクア・ダンチェッカー
CV:一色ヒカル
軍部と諜報部を兼任。主にリーティアの片腕として活躍しています。
とある事情により、喜怒哀楽の感情表現が薄い。
その事情が消えた後の彼女はアタフタしたり、感情豊かで良い感じです。
冷静だった頃も悪いわけじゃないけどね。
シナリオはリーティアとのペア攻略で、おまけのようなものです。
最後、リーティアと一緒に主人公に弁当を食べさせるシーンに萌えました。
キャラデザ
総CG枚数170枚(メカCGやSDキャラも加えての数)。出来は良いです。
カズナとのエロシーンで主人公が酷いことになっていて笑ってしまいました(出来が悪いわけではない)。
SD絵はかなり可愛いですね。コタツに入ってる雫、主人公に噛み付いてるココロが特にお気に入り。
音関連
曲は全部で33曲。ボーカルソングは3曲。
どの歌も良い感じですが、挿入歌のタイミングは反則すぎる。
曲調がシーンに合いすぎで、読みながら涙腺直撃でした。
BGMも明るい物からシリアスな物まで良い出来ですね。
お気に入りはティーザー」「ココロ」「エヴォリミット」の3曲。

声優さんは良いですね。主人公の声もありで、感情が薄まったシーンから燃えるシーンまで良い感じで、主人公の声あるのが嫌な自分ですが、問題なくプレイ出来ました。
実用シーン
総シーン数12回。雫2回、カズナとリーティアが3回、アクアとマヤと弥生が1回、アクア&リーティアが1回となっています。
弥生のシーンは主人公とではなく環太郎としているシーンで、アクアのシーンは1人エッチをしているアクアを見るというものですが、それ以外は主人公としているシーン。
絵は結構良い感じですが、質はそれほど高くはないです。尺はちょい短い〜普通くらい。
総評
期待していた物と違っていましたが、それでも十分に楽しめる作品。
最後の雫シナリオの終盤は泣きそうな状態でプレイしてました(良い意味で)。
そしてツナミが攻略出来ないのに泣いた。攻略したかったなぁ。
評価点数82点
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